日本で今最も忙しい建築家の1人で、お子さんもいらっしゃる。多忙を極めるため育児はお母様にサポートしてもらっているそうだ。
子どもができたとき、仕事を辞めようとも思ったけど、お母様に「サポートするから仕事続けなよ」と背中を押されたとのことだった。
自宅での撮影で、お子さんに「でもママいつも家にいないじゃん」と言われるシーンがあった。もしかしたら、永山さんはチクリと胸が痛んだかもしれないな、と思った。
それを持ってしても彼女が仕事に邁進するのは、親が本当にやりたいことをやり続ける姿を子どもに見せたいからだと言っていた。子どもに自分の未来は、大人になるのはつまらないと思ってほしくないから。すごいなと思った。永山さんは強い人だ。
一方私はどうだろうと考えると、永山さんとは逆で、仕事より育児を優先させるために転職した。ただ、仕事を犠牲にしたという感覚は全くなく、出産を経て仕事最優先だった私の価値観が大きく変わったので、自然ななりゆきだと思っている。
あと、何より子どもとの時間を減らしてまで仕事に打ち込むほどの情熱が、私にはなかった。
結果、全く興味のなかった今の仕事もそれなりに楽しくやりがいもあり、尚且つ時間的な余裕ができて育児にも自分自身にも時間を割けるようになり、私にとっては最善の選択だったと感じている。
子どもは日々成長していく。後で後悔しても、もう過去の日々は取り戻せない。しかし、仕事もまた然り。今しかできないことも確実にある。一番元気で体が動く30代に、どちらかを選べというのは酷なことだろう。
どちらも完璧にやろうとして潰れてしまうより、どっちかに振り切って頼れるものには全て頼って自分が幸せでいられる道を選ぶ方がいいのかもしれない。永山さんはチクリとした痛みを感じながらも前に進むのをやめない。それはそれでとてもかっこいいと思った。私にはできないことだから。
いろんな生き方があっていい。
いろんな生き方、いろんな価値観を知れるのがドキュメンタリーのいいところ。
またひとつ、それを知れて良かった。